中国OEMの検品基準書|Critical・Major・Minorの不良判定と合否基準を量産前に固定する実務
中国OEMでは、量産品を検品すると決めていても、何を不良とするか、どこまでを許容するか、どの条件で出荷を止めるかが決まっていなければ、検品担当者と工場、日本側で判断が分かれます。特に初回量産では、サンプルでは問題にならなかった色差、傷、寸法差、縫製、組付け、包装などがロット単位で発生することがあります。
そこで量産前に用意したいのが「検品基準書」です。本記事では、中国OEMを進める日本企業向けに、検品基準書へ入れる項目、不良区分、写真基準、機能・寸法・包装の確認方法、サンプリングと合否判定、再検品までを実務の流れで整理します。
Table of Contents
Toggle検品基準書は仕様書と役割が違う
仕様書は、製品を「どう作るか」を固定する資料です。一方、検品基準書は、完成した製品を「どう判定するか」を固定する資料です。図面やBOMだけでは、外観上の傷や汚れ、縫製の乱れ、印刷位置、包装状態などの判定までは揃わないことがあります。
量産前には、少なくとも次の資料を相互に紐づけておくと管理しやすくなります。
- 最終承認サンプル(Golden Sample)
- 製品仕様書・図面・BOM
- 色・材料・副資材の承認見本
- 梱包仕様書
- 検品基準書
仕様変更が入る場合は、古い基準書のまま検品しないよう、版番号と適用ロットを合わせます。変更管理については中国OEMの仕様変更管理も参考にしてください。
検品基準書の最初に固定したい基本情報
検査項目を書く前に、どの製品・どの仕様を対象にするかを明確にします。複数SKUがある案件では、色やサイズによって確認項目が異なる場合があります。
- 商品名・型番・SKU
- 仕様書・図面の版番号
- 承認サンプルの識別方法
- 対象ロット・発注番号
- 検品場所と検品タイミング
- 全数確認する項目とサンプリングする項目
- 不良分類と合否判定のルール
- 不良発生時の処置・再検品条件
「良品見本と同じ」「きれいに仕上げる」といった抽象表現だけではなく、写真、寸法、位置、操作手順など、第三者が見ても同じ判断になりやすい形にします。
Critical・Major・Minorで不良の重さを分ける
検品基準では、不良をすべて同じ扱いにせず、影響度に応じて分類すると判断しやすくなります。一般的にはCritical、Major、Minorなどの区分が使われますが、何をどの区分にするかは製品仕様・用途・販売条件に合わせて案件ごとに定義することが重要です。
Critical:安全性や使用継続に重大な影響がある不良
使用時に危険につながる可能性がある状態、重要な安全部品の欠落、重大な誤組立などは、軽微な外観不良と同じ扱いにしません。該当する場合は出荷停止や原因確認を含め、案件ごとに判断条件を先に決めます。
Major:販売・機能・顧客使用に大きく影響する不良
機能しない、主要寸法が仕様から外れている、目立つ傷や汚れ、重要部品の取り付け違い、縫製外れ、印刷内容の誤りなど、通常販売が難しくなる不良を想定します。
Minor:使用には大きく影響しないが品質差として管理したい不良
軽微な外観差、目立ちにくい位置の小さな傷、糸処理などが候補になります。ただし、ブランドの販売基準によってはMinor相当でも受入不可とする場合があります。
同じ傷でも「正面中央」と「底面」では見え方が違うため、位置・大きさ・数量を含めて写真で例示すると現場判断が揃いやすくなります。
外観基準は写真でOK例・NG例を残す
外観検品は担当者の感覚差が出やすい項目です。文字だけで「傷不可」と書くより、承認サンプルや実際の不良例を使って、OK・NGの境界を写真で残します。
- 傷、打痕、へこみ、汚れ
- 色差、光沢差、表面処理のむら
- 印刷・ロゴの位置、かすれ、傾き
- 縫製の蛇行、糸飛び、糸処理
- 樹脂部品のバリ、白化、割れ
- 金属部品の錆、変色、メッキ不良
- 左右差、組付けずれ、隙間
写真には、できれば定規や位置情報を入れ、どの面をどの距離から確認するかも揃えます。これにより工場の自己検品と第三者検品で基準が変わるリスクを下げられます。
寸法検査は測定位置と許容差をセットで決める
寸法は数値があるだけでは十分ではありません。同じ製品でも測定位置や押さえ方で差が出るため、図面や写真で測定ポイントを指定します。
- 測定する寸法
- 測定位置
- 使用する測定器
- 許容差
- 測定時の状態(展開・無負荷・組立後など)
- SKUごとの基準値
許容差は工場任せにせず、製品機能、組付け、公差の積み上がり、日本側の使用条件を踏まえて承認します。特に相手部品と嵌合する寸法は、単体で許容範囲でも完成品で不具合が出ないかを確認します。
機能検査は「動くか」ではなく操作手順まで書く
機能検査で「動作OK」とだけ記録すると、検品者によって確認内容が変わります。電源、ボタン、ロック、開閉、回転、通信、充電など、製品ごとの操作を手順化します。
例えば、スイッチ製品であれば「電源を入れる→各モードを順番に切り替える→表示を確認する→一定回数操作する→異音や引っ掛かりを確認する」のように、確認順序と判定ポイントを明確にします。
機能不良が見つかった場合は、単品交換だけで終わらず、同じ部品ロットや同じ工程に問題が広がっていないかを工場側で確認します。
付属品・表示・包装も検品基準に含める
日本到着後の手戻りは、製品本体だけでなく付属品や包装の違いでも起こります。量産品の検品では次の項目も対象にします。
- 付属品の種類・数量
- 取扱説明書・保証書などの同梱
- 商品ラベル、SKUラベル、JANコード等
- 個装袋・化粧箱・台紙・緩衝材
- 内箱・外箱の入数
- ケースマーク、カートン番号
- 箱潰れ、汚れ、破れ、封緘状態
包装仕様の固定方法は中国OEMの梱包仕様書で詳しく整理しています。
サンプリング数量と合否条件を曖昧にしない
全数検品を行わない場合は、どのロットから何点を抽出し、どの不良区分をどの条件で合否判定するかを事前に決めます。サンプリング方法は製品リスク、ロット規模、過去品質、検査コストなどで変わるため、一律の数値をすべての商品へ当てはめるのではなく、案件ごとに合意します。
重要なのは、検品当日に「何個見ればよいか」「この不良数なら出してよいか」をその場で決めないことです。POや量産指示の段階で検品条件を確認し、必要なら工場にも同じ基準を渡します。発注条件の固定については中国OEMの発注書(PO)も参考になります。
不良が出た後の再加工・再検品まで基準書に入れる
検品基準書は、合格・不合格を付けるだけの資料ではありません。不合格になった場合に何をするかまで決めておくと、出荷直前の判断が早くなります。
- 不良品の隔離・識別
- 工場での選別
- 再加工・修理・部品交換
- 不足数量の再生産
- 処置後の再検品
- 原因と是正内容の記録
- 最終出荷判定
返品、交換、再発送など量産後の不良処置については中国OEMの不良品対応、検品後の最終判断については中国OEMの出荷判定で整理しています。
初回量産ではGolden Sampleと検品基準書を同時に確認する
初回量産は、工場が量産条件へ切り替わる最初のロットです。サンプル承認後に材料、治具、作業者、工程、包装が変わることもあるため、初品とGolden Sampleを比較し、その差を検品基準へ反映します。
特に「サンプルでは許容したが量産では許容しない項目」「サンプル修正後に追加された確認項目」は明文化しておく必要があります。初回量産の立ち上げ全体については中国OEMの初回量産立ち上げをご覧ください。
量産前に使える検品基準書チェックリスト
- 対象SKU・仕様版が最新になっている
- Golden Sampleが特定できる
- Critical / Major / Minorの定義がある
- 外観のOK・NG例が写真で分かる
- 寸法の測定位置と許容差がある
- 機能検査の操作手順がある
- 付属品・表示・包装も対象になっている
- サンプリング方法と合否条件が決まっている
- 不合格時の選別・再加工・再検品条件がある
- 工場・検品担当・日本側で同じ版を共有している
China2JPの中国OEM検品・品質管理支援
China2JPでは、日本企業向けの中国OEM・調達支援として、工場開拓、サンプル確認、仕様整理、量産管理、検品、梱包確認、出荷準備まで案件に合わせて対応しています。
中国側で検品を行う場合も、単に写真付きレポートを提出するだけでなく、日本側の販売基準を工場・検品担当へ共有し、量産前に検品項目と判定条件を固定することが重要です。検品全体の考え方は中国検品・品質管理ガイドも合わせてご覧ください。
中国OEMの検品基準づくり、初回量産の検品、既存工場の品質基準見直しをご検討の場合は、China2JPへご相談ください。
日本企業向け・中国現地ワンストップ支援
中国OEMの検品基準書について、工場選定から日本納品まで無料相談
商品URL、写真、図面、BOM、希望数量のいずれかをご共有ください。中国現地での候補工場調査、価格・MOQ・仕様交渉、サンプル、量産管理、検品、国際物流まで、案件に必要な進め方を日本語で整理します。
- ✓候補工場の調査・比較・第二サプライヤー開拓
- ✓価格・MOQ・材質・仕様を中国語で交渉
- ✓サンプル確認・量産管理・出荷前検品
- ✓国際物流・通関資料・日本納品まで一括対応
初回相談・工場リサーチは無料です。原則1営業日以内に日本語で返信します。
Related posts
中国半導体設備の調達支援|封止・パッケージ・検査装置を日本企業が仕入れる際の確認ポイント
中国OEMの原価管理|見積単価を材料・加工・包装・初期費用に分解する実務
中国OEMの検品基準書|Critical・Major・Minorの不良判定と合否基準を量産前に固定する実務
中国OEMの出荷判定|検品結果・不良処置・梱包・書類を確認して出荷可否を決める実務
中国OEMの初回量産立ち上げ|サンプル承認後に品質・工程・検品を安定させる実務
中国OEMの金型管理|所有権・保管・修理・工場移管を発注前に確認する実務
中国OEMの梱包仕様書|個装・内箱・外箱・ラベルを量産前に固定する実務
中国OEMの第二工場開拓|既存工場を止めずに代替サプライヤーを立ち上げる実務
中国OEMの発注書(PO)|数量・仕様・納期・支払条件を工場と固定する実務
中国OEMの仕様変更管理|サンプル・BOM・量産中の変更を事故なく反映する実務
中国OEMの納期管理|量産遅延を防ぐ材料手配・進捗確認・検品・出荷の実務
中国OEMの支払条件|前金・残金・金型費・検品前後で確認すべき実務ポイント
最新情報
対応エリア
深セン・義島・広州、上海、中国全土