中国OEMでサンプルが承認され、価格とMOQもまとまった後に重要になるのが、量産条件を発注書(Purchase Order / PO)として固定することです。WeChatやメールで数量と価格を伝えただけでも工場は生産を進められますが、量産後に「この色ではなかった」「包装数量が違う」「納期の起算点が違う」といった認識差が出ると、過去のチャットを一つずつ確認することになります。
発注書は単なる「注文数量の紙」ではありません。日本側と中国工場が、何を・いくつ・どの仕様で・いくらで・いつまでに・どの条件で納品するかを同じ基準で確認するための管理資料です。
本記事では、日本企業が中国工場へOEM・ODMを量産発注するときに、POへ入れておきたい項目と、サンプル・BOM・支払条件・検品・出荷までつなげる実務を整理します。
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Toggle中国OEMの発注書は「最終条件の一覧表」にする
発注書を作る目的は、工場へ数量を知らせることだけではありません。見積書、サンプル修正履歴、BOM、包装仕様、支払条件、納期など、発注前に分散していた情報を量産時点の条件として一本化します。
最低限、次の情報を一つのPOで確認できる状態にすると、量産管理がしやすくなります。
- 発注番号(PO No.)
- 発注日
- 工場・仕入先名
- 商品名・SKU・型番
- 色・サイズ・仕様別数量
- 単価・通貨・合計金額
- 仕様書・図面・BOMの版番号
- 包装仕様
- 支払条件
- 量産納期・出荷予定日
- 検品条件
- 納品先または物流引渡条件
商品が複数SKUに分かれる場合は、総数量だけでなくSKUごとの内訳を明記します。「黒500個、白500個」と「合計1,000個」では工場の材料手配が変わるため、色・サイズ・仕様単位で数量を固定することが重要です。
商品名だけでなくSKU・型番・仕様版を記載する
OEMでは、同じ商品名でもサンプル段階で仕様が何度か変わることがあります。そのためPOに「商品A 1,000個」とだけ書くと、どの仕様を量産するのか曖昧になります。
発注書には、社内SKUや工場型番に加えて、可能であれば最終仕様書の版番号、図面番号、承認サンプルの識別番号を記載します。
例えば次のように管理します。
- SKU:ABC-01-BK
- Factory Model:XF-220
- Specification:Rev.03
- BOM:BOM-ABC-01 Rev.02
- Golden Sample:Sample No. GS-202608
こうしておけば、「POは最新版だが、工場の現場は旧図面を見ていた」というズレを発見しやすくなります。仕様変更の管理方法については、中国OEMの仕様変更管理でも詳しく整理しています。
数量は完成品MOQだけでなくSKU別・部材別に確認する
発注数量を決めるときは、完成品のMOQだけを見ないことが重要です。中国OEMでは、生地、樹脂色、金属表面処理、印刷、包装、専用部品などに個別MOQが設定されることがあります。
そのためPO発行前に、次の3段階を分けて確認します。
- 完成品の発注数量
- SKU・色・サイズごとの数量
- 専用部材・包装資材ごとの最低数量
例えば完成品1,000個で発注できても、専用箱が2,000枚からしか作れない場合、余剰1,000枚を工場が保管するのか、日本側が買い取るのか、次回生産へ繰り越せるのかを事前に決めておきます。
MOQの分解と交渉については、中国OEMのMOQ交渉も参考になります。
単価は「何を含む価格か」まで固定する
POには合意した単価を記載しますが、単価だけでは不十分です。同じ10ドルでも、個包装、取扱説明書、バーコード、内箱、外箱、検品費、国内輸送などを含むかどうかで最終コストは変わります。
発注前に、見積条件とPOの条件が一致しているか確認します。
- 製品本体
- ロゴ・印刷
- ブランドネーム・ラベル
- 個包装
- 説明書
- JANコード・バーコードラベル
- 内箱・外箱
- 専用治具・金型・版代
- 中国国内の指定倉庫までの送料
別途費用になる項目は、PO本文または添付条件に明記します。見積段階でBOMや追加費用を整理する方法は、中国OEM代行の見積もり依頼書|BOM・品質基準・追加費用の確認方法で確認できます。
支払条件は「割合」だけでなく支払タイミングを書く
支払条件は「前金+残金」という書き方だけでは、いつ支払うのかが曖昧です。POでは、合意した条件に合わせて支払タイミングを具体化します。
例えば、次のような基準点を明確にします。
- PO承認後
- 材料手配前
- サンプル承認後
- 量産完成後
- 出荷前検品合格後
- 船積み・物流引渡前
案件によって条件は異なるため、特定の割合を一律の業界標準として扱うのではなく、工場との合意内容をそのままPOへ反映します。支払いの整理方法は中国OEMの支払条件を参照してください。
納期は「○月○日」だけでなく起算点と工程を確認する
中国工場から「30日で完成」と回答があっても、30日をどこから数えるかで実際の出荷日は変わります。前金入金日、材料到着日、最終サンプル承認日、包装データ確定日など、工場が量産を開始できる条件を確認します。
POでは少なくとも、次の日時を分けて管理すると実務的です。
- 発注日
- 前金予定日
- 材料手配開始日
- 量産開始予定日
- 量産完成予定日
- 検品予定日
- 出荷予定日
特に日本側でパッケージデータや説明書を後送する場合、その未確定項目が納期へ影響するかを発注時点で確認します。工程別の納期管理は中国OEMの納期管理で詳しく解説しています。
包装仕様は「参考画像」ではなく数量と資材まで書く
包装は量産後のトラブルが起こりやすい項目です。サンプル時に仮包装だった場合、量産発注時には正式な包装仕様へ切り替える必要があります。
POまたは添付のPacking Specificationに、次を記載します。
- 1個あたりの個包装方法
- 袋・箱・台紙などの資材
- ラベル位置
- 1内箱あたりの数量
- 1外箱あたりの数量
- 外箱マーク
- SKU混載の可否
- カートンサイズ・重量確認のタイミング
FBAや日本側3PLへ直送する案件では、出荷先の入庫条件も量産前に共有します。完成後にラベルや梱包を変更すると、再梱包費や納期遅延につながるためです。
検品条件をPOと量産仕様につなげる
「出荷前に検品する」だけでは、何を合格とするかが分かりません。PO発行時には、検品の有無、実施タイミング、主要な合否基準を確認します。
商品によって項目は異なりますが、一般的には次のような観点があります。
- 数量・SKU
- 外観
- 寸法・重量
- 機能
- 色・印刷・ロゴ
- 部材・付属品
- 包装・ラベル
- カートン表示
細かな検査項目は別紙の検品基準書にして、POにはその文書名や版番号を記載すると管理しやすくなります。中国側での出荷前確認については中国検品・品質管理をご覧ください。
工場の署名・確認返信を残してから量産へ進む
POを送付しただけでは、日本側の一方的な発注資料になってしまいます。工場から「確認しました」と返事をもらい、数量、単価、仕様、納期、支払条件に相違がないことを確認します。
特に金額や納期を修正した場合は、古いPOと新しいPOが混在しないように、PO番号やRev.番号を更新します。修正版を送った後は、どの版が最終発注書かを明確にします。
また、工場の営業担当だけでなく、生産管理や購買担当へPO内容が展開される体制かを確認しておくと、量産現場での認識差を減らせます。工場の工程・外注・品質体制を確認する場合は中国工場監査も参考になります。
発注後に変更が出たらPOを上書きせず変更履歴を残す
量産発注後に、数量、色、包装、納期などの変更が発生することがあります。その場合、チャットだけで差し替えるのではなく、変更内容を記録します。
変更が大きい場合はPO Rev.02のように改訂版を発行し、旧版を無効化します。小さな変更でも、変更日、変更内容、工場確認、適用ロットを記録しておくと、検品時に基準を追跡できます。
特に工場がすでに材料を発注している場合、数量変更や仕様変更によって余剰材料、追加費用、納期延長が発生する可能性があります。変更前に影響範囲を確認してから承認します。
中国OEMの発注前チェックリスト
POを確定する前に、次の項目を一度確認します。
- SKU・色・サイズ別数量が確定している
- 最終単価と通貨が見積書と一致している
- 仕様書・図面・BOMの最新版が指定されている
- Golden Sampleまたは最終承認条件が明確になっている
- 包装・ラベル・説明書の仕様が確定している
- 支払条件と支払タイミングが合意されている
- 量産完成日・検品日・出荷日の考え方が一致している
- 検品基準が工場と共有されている
- 納品先・物流引渡方法が決まっている
- 工場から最終POの確認返信を受けている
この10項目を発注時に固定できれば、量産後にチャット履歴をさかのぼって条件を確認する場面を大きく減らせます。
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