香港展示会後のOEMフォローアップ|RFQ・サンプル評価を中国工場へつなぐ実務

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ビクトリア・ハーバー越しに見る香港の高層ビル群と夜景

香港の展示会で有望なOEM候補と出会っても、帰国後に「見積をお願いします」とだけ連絡すると、会場で話した仕様、見積対象、サンプルの条件がばらばらになりがちです。次に必要なのは、商談記録を、工場が回答できるRFQと、日本側が判定できるサンプル評価条件へ変換することです。

本稿では、香港展示会後のOEMフォローアップを、連絡先の整理から試作承認までの順序で説明します。会場での候補比較には展示会のOEMメーカー評価表、中国全体の選定方針には中国OEMメーカー選定ガイドを併せてご利用ください。

香港の商談窓口と、中国本土の製造担当をつなぐ

香港で商談した担当者、見積を発行する会社、実際に設計・生産する会社が同じとは限りません。香港側の窓口が回答を取りまとめる場合も、技術上の質問に誰が答え、誰が最終判断するかを最初に確認します。香港で出会ったという事実だけで、中国本土に工場があるとも、自社工場で全工程を行うとも判断しないでください。

候補ごとに「商談窓口」「契約予定先」「技術責任者」「生産場所」「品質窓口」を記入します。まだ決まっていない欄は空欄のままにせず、「未確認・回答予定日」を残します。香港の担当者を飛び越して工場に別の指示を送るのではなく、関係者が同じ仕様と課題一覧を参照する連絡体制を合意してください。

会後フォローの工程表:返信数より、判断できる資料を増やす

以下は社内で使う進行例です。所要日数は製品・設計変更・相手の対応状況で変わるため、固定の納期保証ではありません。各段階に担当者と回答期限を付けて運用します。

香港展示会後のOEMフォローアップ台帳
段階 日本側から渡すもの 相手から受け取るもの 次へ進む条件
商談内容の再確認 候補ID、ブース・商品写真、議事メモ 担当者、対象モデル、説明内容の訂正 話していた製品と相手の認識が一致
RFQ送付 仕様版、数量条件、必要な試験・包装、回答様式 受領確認、技術担当、追加質問 見積に必要な不足情報が明確
見積比較 質問・差異一覧 項目別見積、仕様差異、対象外範囲 条件を揃えた比較ができる
サンプル手配 評価目的、合否基準、識別・送付条件 製作仕様、工程、費用、出荷予定 何を検証するサンプルか合意
評価・修正 測定結果、写真、課題番号 原因、修正内容、影響、再提出版 未解決項目の扱いを日本側が判断
量産への引継ぎ 承認版一式、検収条件 生産工程、検査計画、変更連絡体制 承認内容を量産で再現する条件が揃う

「メール送信済」「返信あり」は作業状況です。「見積比較可能」「試作依頼可能」「量産判断保留」は判断状況です。この二つを別欄にすると、返信は続いているのに仕様が確定していない案件を見つけやすくなります。

最初の連絡で、展示品と依頼品の違いを確認する

名刺だけでなく、許可を得て撮影した展示品の写真、型番、商談日を添えて連絡します。同じブースで複数モデルを見た場合は、写真に候補IDを付けてください。依頼文には次の五点を含めると、回答の抜けを確認しやすくなります。

  1. 会場で確認したモデルと、今回検討する用途。
  2. そのまま採用したい部分と、変更したい部分。
  3. 想定数量・希望時期と、それが確定条件か検討条件か。
  4. 最初に欲しい回答:既存品の資料、設計変更の可否、または正式見積。
  5. 回答担当者と、難しい場合に代替日程を知らせてもらう期限。

例えば「外観は展示品に近いもの、内部構造は変更したい」という依頼では、既存品へのロゴ追加と同じ見積条件にはなりません。既存設計の利用範囲、変更設計の担当、試作の作り方を先に分けて確認します。

HKTDCの商談ツールは、継続連絡の入口として使う

HKTDCの公式案内では、Scan2Matchで出展者情報の閲覧、候補の保存、問い合わせや商談への接続ができると説明されています。Scan2Matchの公式説明を参照し、対応する展示会では会場情報と連絡先を紐付けてください。

Click2Matchは各展示会の利用期間・登録条件を確認する必要があります。HKTDCの公式サポートにも期間外のアクセス制限が案内されています。会期後もいつでも使えるとは考えず、共有が認められた議事記録、正式な連絡先、次回の確認方法を双方で整理しておきましょう。これらの機能はHKTDCの案内であり、香港のすべての展示会に共通するサービスではありません。

RFQは「添付資料一覧」と「差異回答欄」を一組にする

RFQ(見積依頼書)を送る際は、本文に添付ファイル名と版番号を列記します。「最新版」という名前だけでは、相手がどの資料で見積したか確認できません。図面Rev.B、仕様書Rev.02、評価項目Rev.01のように識別し、相手の見積書にも対象版を記載してもらいます。

  • 要求仕様:用途、寸法・材料・性能、変更できない項目と提案可能な項目。
  • 数量条件:試作数量、初回量産の検討数量、数量別の見積条件。予測と確約を区別。
  • 費用範囲:製品、設計、試作、金型・治具、試験、包装、輸送の各範囲。
  • 納期条件:設計確定や試作承認など、納期を数え始める条件。
  • 回答欄:対応可、条件付き、対応不可、不明点と、代替案・追加費用。

見積の受領後は、まず差異を確認します。安い見積でも、要求した材料、試験、包装が含まれていなければ、同じ条件の比較にはなりません。変更提案を採用するときは、RFQ自体を改訂し、比較対象の各社に同じ条件を伝えます。

窓口と工場で回答が違ったときの扱い

商談担当者が「可能」と答え、技術担当者が「仕様変更が必要」と回答した場合、単に担当者へ催促するだけでは解決しません。相違点を課題番号で示し、要求内容・工場回答・代替案・日本側判断を一行にまとめます。技術担当を含む打ち合わせで結論を出し、その結論を見積と仕様書へ反映してください。

サンプルは三種類を区別して依頼する

「サンプルを送ってください」では、展示用の既存品が届くのか、自社仕様の試作品が届くのか分かりません。依頼前に、確認する目的と、量産に対して未確認の部分を明示します。

サンプルの目的と量産判断への使い方
サンプル区分 主に確認すること 別途確認が必要なこと
展示モデル・既存品 大きさ、操作感、構造の方向性 自社仕様への変更、要求材料、量産工程
自社仕様の試作品 合意した機能・寸法・外観の成立 量産用材料・金型・工程との差異
量産条件を反映した確認品 合意した材料・工程での再現性 量産ロット全体の品質、継続生産時の変動

各サンプルに識別番号、製作日、図面・BOMの版、変更箇所を付けてもらいます。評価する側も、確認項目、方法、条件、合否、写真番号を残します。外観だけを見て承認したものを、機能や耐久性まで承認済みと扱わないことが大切です。

精密加工品なら重要寸法と測定条件、電子製品なら部品構成とソフトウェア版、産業機器なら使用条件と動作確認項目を具体化します。製品名を増やすより、「今回の試作で何が分かり、何が残るか」を明らかにしてください。

架空の記入例:返信ありでも、試作発注を保留する理由

以下は運用を説明する架空例で、実際の顧客・商談・取引実績ではありません。

候補HK-Aは、展示品と同じ外観で見積を提出しました。しかし、日本側が希望する材料について「同等品を使用」とだけ回答しています。この時点の状態は「見積受領・材料差異未解決」です。技術担当者に材料の識別情報と変更理由を確認し、日本側が採用可否を判断するまでは、自社仕様の試作依頼を確定しません。

候補HK-Bは回答が遅れたものの、製作予定の工場、材料、試作工程と量産工程の差を明記しました。こちらは、費用・日程など残る条件を確認したうえで、試作に進めるか判断できます。回答速度と、判断に必要な情報の充足度を別々に見るための例です。遅い回答そのものを肯定するものではありません。

香港から深セン・華東へ引き継ぐときの確認事項

香港の商談から中国本土での試作・工場確認へ進む場合、訪問前に目的を絞ります。工場案内を受けるだけでなく、「今回の製品を作る工程」「試作の未解決事項」「測定方法」「外注工程の責任分担」を確認するための資料を送付してください。

珠三角で部品、金型、実装、組立などを分担する案件は、深センOEMサプライチェーンの記事につなげて、各工程の窓口と引渡し条件を整理できます。華東の候補では、上海OEMメーカー開拓を参照し、上海の技術・商談窓口と実際の製造場所を分けて確認します。地域名だけで品質や技術水準を保証できるわけではありません。

訪問や面談の後は、案件台帳へ決定事項を戻します。承認図面、試作評価、見積、変更履歴が担当者ごとに分散したままだと、香港側と製造側で別の仕様が使われるおそれがあります。

量産承認前に、品質・変更管理・日本側検収を固定する

サンプルが良好でも、量産発注は別の判断です。量産用の材料・設備・工程、受入・工程・出荷検査、ロット識別、出荷判定の担当者を確認します。試作と量産で条件が変わる項目には、再評価の要否を記載してください。

材料、部品、生産場所、外注先などの変更については、申請先、承認者、適用ロット、旧仕様品の扱いを合意します。日本側の検収条件には、数量、外観、機能、付属品、包装、表示、提出資料を含め、不一致時の連絡・再確認方法も整理します。用途や仕様に応じて必要な日本導入の確認事項を担当者と確定し、出展説明や別モデルの資料だけで適合を判断しないでください。

検査範囲と判定基準の相談には検品サービスをご参照ください。検品場所の確保と、必要な試験設備・判定能力の確認は分けて進めます。

よくある質問

香港展示会後、候補全社へ同じメールを送ってよいですか?

RFQの要求条件と回答様式は共通化できます。ただし、対象モデル、会場での合意、依頼する変更点は候補ごとに整理してください。他社の見積や機密資料を混在させず、各社へ必要な情報を送ります。

返信がない会社には、どう再連絡しますか?

添付の受領、担当者、回答予定日を短く確認します。設計確認に時間が必要なら、回答できる項目と保留項目を分けてもらいます。再連絡の期限を台帳に残し、見通しが立たない場合は他候補の検討も進めます。

香港の会社を窓口にしても、中国本土の工場を確認できますか?

相手との合意と開示範囲によります。工場情報、技術面談、訪問の可否を確認し、直接訪問できない場合にどの資料・試作・検査で補うかを検討します。未確認部分を残したまま「工場確認済み」と記録しないでください。

展示品が気に入れば、そのまま量産発注できますか?

展示品と納入品の仕様、材料、工程、品質基準、表示・包装が一致するか確認が必要です。既存品の採用でも、用途と検収条件を決め、必要な評価を終えてから発注を判断します。

香港展示会の候補を、次の試作につなげたい方へ

China2JPは、日本企業向け中国OEM・ODM・調達専門の窓口として、香港での商談・企業訪問から、中国本土の工場確認、サンプル調整、検品までご相談を承っています。候補企業の情報、商談メモ、参考写真、希望数量をご共有ください。未確認事項と次に依頼する資料を整理し、案件に応じた対応範囲をご案内します。

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アイキャッチ写真:香港ビクトリア・ハーバーの実景(2025年8月27日撮影)。写真:Max Bates/Wikimedia Commons/CC BY-SA 4.0。既存メディアの縮小版を再利用。本記事の展示会・商談・顧客実績を撮影した写真ではありません。

参考情報

公式情報の確認日:2026年9月27日。各展示会のサービス利用条件は、対象展示会の公式案内で再確認してください。本文の台帳、進行条件、記入例は日本企業向けの実務提案であり、主催者の公式審査基準ではありません。

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